2019年5月19日日曜日

学校の授業

学校の授業は子どもたちを通して親の考えまで変えることができる




学校の授業は子どもたちの考えや意見を形作っていきますが、同時に、子どもたちに対する教育が親の考えをも大きく変えることが実験で判明しました。

Who can convince those who reject climate science? Maybe their kids | Ars Technica
https://arstechnica.com/science/2019/05/who-can-convince-those-who-reject-climate-science-maybe-their-kids/

Children can foster climate change concern among their parents | Nature Climate Change
https://www.nature.com/articles/s41558-019-0463-3

世代によって大きく考えは異なります。現代、特にアメリカで暮らす子どもたちは、大人たちに比べて戦争など文化的な背景、政治的意見、文化的境界線を気にせずに勉強できる環境にあるので、科学的な問題についてよりオープンな考えや意見を持ちやすいと考えられています。このため若い人は高齢者よりも「気候変動は都市伝説だ」という意見を持ちにくい傾向にあるとのこと。

このことに着目したノースカロライナ州立大学のDanielle Lawson氏が率いる研究チームは、子どもが学校で学んだことを家に持ちかえることで、親の意見や考えを変えるのかを調査しました。研究者たちは北カリフォルニア沿岸部で働く中学生教師を募集し、1つのグループには気候変動に関する授業を組んでもらい、もう1つのグループには比較のため通常通りの授業を組んでもらうという実験を行いました。この実験には合計200家族が参加することになったとのことです。


この時行われた気候変動に関する授業は、「天気と気候の違い」「気候変動がどのように生き物に影響するのか」といった内容を教えるもので、子どもたちは地域のコミュニティでのプロジェクトにも参加。最終的に子どもたちには「親に地域の天気の変化についての考えをインタビューする」という課題が割り当てられました。

実験の終わりに「気候変動に関する意見」と「気候変動について家族で話したか」ということについて親子に対してアンケートが取られたところ、子どもが気候変動への懸念を増加させたのはもちろんのこと、親にまで影響があることが判明しました。特に、実験前はあまり気候変動について懸念を抱いていなかった層の変化は大きいものでした。

以下の図は縦軸が気候変動についての「懸念度合」を示すもの。グラフは左から「保守」「中間」「リベラル」となっており、赤いグラフが実験前、青いグラフが実験後のスコアとなっています。


いずれの政治的信念を持つ親も気候変動についての懸念を増加させていますが、保守派の親の意見の振れ幅はかなり大きめ。ただし、不思議なことに、コントロールグループにおいても保守派の親の懸念は増加したので、複数回アンケートに答えること自体が何らかの変化をもたらした可能性があるともみられています。


また、母親よりも父親の方が懸念度合を上げる傾向があったこと、息子よりも娘の方が親に対して大きな影響を与えることもわかっています。娘の方が親に大きな影響を与えることについて、研究者は「女の子は男の子に比べて最終的に気候変動について高いレベルの懸念を持つこと」が関係しているとみています。また、思春期の女の子は思春期の男の子に比べて両親とのコミュニケーションを上手に取りやすいということも背景にある理由の1つとみられています。

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