毎年3月の春分の時期、イランでは日本でいうところの元旦を迎える。イラン(旧ペルシャ)暦の元日「ノウルーズ」だ。
この日を晴れ晴れしく迎える為、ノウルーズが近づくと、イラクの人々はラグを外に干して叩き、一年の埃をとる。
だいたい3月20日前後が休日になるが、さまざまな祝賀儀式や伝統行事で何週間も祝う。
ノウルーズを祝うため、米国議会図書館が初めて、珍しいペルシャの写本、リトグラフ、13世紀にさかのぼる書物155点をオンラインで利用できるようにした。
歴史的に貴重な写本や書物の数々
『イーリアス』や『オデュセイア』のような、イスラム前のペルシャについての叙事詩『シャー・ナーメ』や、タージ・マハールの建設を監督した17世紀のムガール帝国皇帝、シャー・ジャハーンの生涯を描いた文献、さらに、宗教、哲学、科学についての写本もある。
ジェームズ・スキナーの本より、インドの生活について。外科医がアヘンを使って患者の脚を治療しているところ。アラビアやトルコの歴史があったこともあり、さまざまな言語で書かれているものもある。この広範囲なコレクションの多様性は、これらがいかに国際色豊かだったかを示している。
『Ghazalīyāt-i shaykh Saʻdī』という本からの写真。古いペルシャの詩の抜粋がおさめられている。
image credit:Library of Congress
ペルシャの様々な地域性を見ることができる
「今日のわたしたちは、ペルシャとイランは同じだとインプットされているが、このコレクションを見てもらえば、さまざまな地域性があったことがわかる」と言うのは、議会図書館のアフリカ・中東地域担当専門家、ヒラード・ディナヴァリ。「これは同種均一のものではなく、インド、トルコ、中央アジアなど、さまざまな地域色が影響している。さまざまな民族の多様な人々が、この伝統に貢献している」
このコレクションの多様性をひとまとめにしたひとつの例がある。19世紀始めの英軍中佐で、アングロインディアン(インド在住の英国人)のジェームズ・スキナーによる、『History of the Origin and Distinguishing Marks of the Different Castes of India』だ。
この本は真の意味の文化の融合だと、ディナヴァリは言う。ほぼ3分の2が、ヒンデゥ・インドに特有の部族、伝統、職業などについて書かれていて、インドで語源的につながりの深かったペルシャ語で書かれ、厳選されたイラストブックの中ではあまり取り上げられなかった、一般の人々の日常生活も扱っている。
スキナーの本に出て来る動物使い。彼はペルシャ語で自伝も書いている。
image credit:Library of Congress, African and Middle East Division, Near East Section Persian Manuscript Collection
後世に歴史を残す。書物のデジタル化プロジェクト
コレクションのほとんどは、1930年代に美術商のキルコー・ミナシアンから図書館が取得したものだ。
デジタル化が始まる前の2014年には、展示するには脆すぎる材質の写本に特別に重点をおいて、40前後のアイテムが展示された。
このデジタル化プロジェクトは、ほぼ終わっていて、あと15ほどの写本を残すだけになっている。これらをすべてまとめるアイデアは、過去と現在をつなぐのに大いに役立つだろう。
「わたしたちがやろうとしていることは、昔の写本を通して、ペルシャ世界の書き物の伝統を展示するだけでなく、それらを現代世界に持ち込むことでもある」ディナヴァリは言う。
「古代の遺物や骨董品のように見せるのではなく、それが現代にも続いているという継続性を示したい」
これらペルシャの古い写本や書籍を見るには、『 Persian Language Rare Materials | Digital Collections | Library of Congress』から。
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