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昔ながらのゲームの1つにクロスワードパズルがある。これは、カギ」と呼ばれる文章によるヒントを元に、タテヨコに交差したマスに言葉を当てはめてすべての白マスを埋めるパズルのことだ。
昔から、新聞や雑誌になどに掲載されていたパズルだが、今ならスマホ用のアプリも充実している。
実はこのクロスワードパズル、たくさん解くほどに、老化による記憶力の低下が防止されることが判明したという。
クロスワードパズルで脳が10歳若返る
その効果について研究したのは、英エクセター大学のアン・コーベット博士だ。
彼女は、2年間にわたり、クロスワードのような単語パズルや数独のような数字パズルのアンチエイジング効果を調査してきた研究者である。
コーベット博士が、イギリス国内で実施された「PROTECT研究」のデータを用いて50~93歳の被験者1万9078人を調査したところ、単語パズルや数字パズルをやる人は、14種類の認知テストで良好な成績を収める傾向にあった。
その結果によると、パズルをよく解く高齢者は、やらない人に比べると、短期記憶が8歳、文法的推論能力が10歳若かったという。
「パズルやきちんと効果が立証された脳トレで定期的に脳を鍛えると、頭を若々しく保てるということを知ってくれれば」とコーベット氏はコメントする。
ちなみにこの研究のほかにも、定期的にクロスワードパズルに取り組むことが、加齢にともなう記憶力・認知機能・問題解決能力の衰えの予防につながると示したものはある。
たとえば、ブロンクス加齢研究では、認知症の患者がクロスワードパズルを解くようになってから、記憶の喪失がそうでない人に比べて2.54年分遅くなったことを明らかにしている。
現時点ではまだ臨床的な結論を導き出すことはできないとしても、少しでも頭を若々しく保ちたいと考えている人にとっては、こうした研究は非常にパワフルなメッセージであろう。
単語パズルと数字パズルで異なる効果
コーベット氏が見たところ、単語パズルをやる人とやらない人とで特に違いが生まれるのは、文法的推論・パターン認識・注意力である。
これらに関して、パズルをまったくやらない人は、週に数回程度しかやらない人と比べてもはっきりと劣っていた。
また数字パズルを頻繁にやる人の場合、個人の経験についての長期的な記憶であるエピソード記憶が優れていた。
さらに空間作業記憶(物理環境の手がかりを記憶するなど)や、注意力・処理速度・実行機能にもアンチエイジング効果が見られたという。
クロスワードパズルが脳の老化を防ぐ理由
つまりは「使わねば、衰える」ということなのだ。体の筋肉とまさに同じだ。
ということは、頭脳の低下を防ぐために自分でできることがあるということでもある。
そうした老後の頭の健康に違いを生み出す習慣の1つとしてよく挙げられるのが教育だ(ただし、現実は少々込み入っていることを示す証拠もある)。
あるいは運動のような余暇の活動もまた頭を鍛えるのに役立つだろう。
そして今回、クロスワードパズルや数独がこうした頭の老化防止ツールに加わった。しかもその効果はパワフルだ。
「単語パズルや数字パズルは、脳の問題解決や記憶を担う部分を刺激します。また集中力や注意力のような機能にも効きます。だから、こうした機能に関連する部分で目立ったアンチエイジング効果があったのでしょう。」
このように話すコーベット氏だが、これまでさほどクロスワードパズルに興味があるわけではなかったが、これからは積極的にやりたいと語っている。
この研究論文は『International Journal of Geriatric Psychiatry』(①と②)に掲載されている。
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