2019年4月7日日曜日

怒りに支配されない

怒りに支配されないための5つの方法




直接面と向かって怒鳴らなくとも、嫌なニュースに憤慨したことや、SNSで怒りにまかせたコメントを投稿したことがある人は多いはず。近代的な「認知行動療法(CBT)」の源流にもなった哲学者ゼノンの思想から、ストレスの多い現代社会で怒りをコントロールする方法を、作家ドナルド・ロバートソン氏がまとめています。

5 Ways to Manage Anger Using Stoicism
https://www.quickanddirtytips.com/health-fitness/mental-health/5-ways-to-manage-anger-using-stoicism

ゼノンとは、紀元前3世紀ごろに活躍した哲学者で、「ストイック」という言葉の語源にもなったストア派哲学の創始者です。
ゼノン胸像(プーシキン美術館)


ゼノンの教えについて、「ひたすら我慢をする」というイメージを持つ人もいるそうですが、その思想の基本は「自分を理性的に見つめる」ことにあります。ゼノンの教えに従い自分の感情や行動を正しく理解し、怒りやネガティブな感情をやわらげるために念頭に置くべきことがらは次の5つです。

◆1:自分も完ぺきな人間ではない
ゼノンは「自分は決して万能ではない」ということを認識することが重要だと説きました。誰かに怒りを向けそうになった瞬間に、ふと自分も同じ失敗をする可能性があることを思い出す癖をつけてみると、不思議と怒りがやわらぐはずです。


◆2:怒りをかきたてるのは人の行動ではなく、それに対する自分の見方
誰かの行動や言い草に腹が立つことは誰しもありますが、その言動に対して誰もが必ず怒るかというとそうではありません。「怒るか怒らないかを決めるのは、自分の価値観次第」だということを念頭に置くと、誰かの行動が思い通りではなかったときでも怒らずにすむかもしれません。

◆3:怒りはその原因よりも有害
ストア派では「他人の行動による影響はごく表面的なもので、私たちの持ち物や外聞、肉体を傷つけるだけ。しかし、『怒りを抱くこと』は私たちの品性を傷つけより深刻な害を及ぼす」と説かれています。怒りの感情は私たちの精神を害して能力を大きく損なうだけでなく、周囲の評判をも落としてしまうもの。怒ることがどんなに損か知っていれば、怒鳴る前に思いとどまれるというものです。

◆4:したくて間違おうと思う人はいない
ゼノンの思想に大きな影響を与えたソクラテスは「誰も故意に悪事をはたらかない」と説きました。かのヒトラーやスターリンでさえ、自分は正しいと信じていたはずです。誰かの失敗に腹が立っても、それがわざとではないということを知っていれば、怒りの感情を弱めることができます。


◆5:怒っている相手の土俵に立つのではなく、思いやりで答える
ローマ五賢帝最後の一人にしてストア派の哲学者でもあったマルクス・アウレリウスは寛大な人柄で有名で、次のようなエピソードが残されています。あるとき、アウレリウスが瞬間湯沸かし器として悪名高い弁護士ヘロデ・アティクスが関わる裁判の主審をしていた折りに、逆上したアティクスがアウレリウスに襲いかかりました。すぐさま近衛兵隊長がアウレリウスを守ろうとしましたが、アウレリウスは剣を収めるよう指示すると、悠然とイスから立ち上がって「友よ、私は少しも恐れていない」と言ったとのこと。

さすがに襲いかかられても聖人のような対応を見せるには、相当な努力が必要になりますが、一歩退いた立場から怒り狂っている相手を見ることができれば、「売り言葉に買い言葉」のけんかにならずにすかもしれません。



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