ラッシュ
史上初の10連休はガソリン高が水を差す――。22日の東京商品取引所で中東産原油(先物)は一時、1キロリットル=4万9020円と今年の取引時間中の最高値を更新した。どうやら、原油高騰の勢いは止まりそうにない。この先、ガソリンにとどまらず、原油関連の値上げが待っている。
世界経済が不透明なのに原油価格は元気だ。ニューヨーク原油先物価格(WTI)は、昨年末の1バレル=42ドルを底にジワジワ上昇。今年4月、60ドルを突破し、現在は65ドル前後で推移している。昨年末比で54%も高い。
「世界経済の減速が懸念されている中、原油価格が上昇しているのは、OPECやロシアの大幅減産や産油国リビアの政情不安に加え、米国がイラン、ベネズエラへの経済制裁を強めているからです」(経済ジャーナリスト・井上学氏)
ポンペオ米国務長官はきのう、イラン産原油の禁輸制裁に関し、日本など8カ国・地域への適用除外を延期しない方針を表明した。割安で人気のイラン産原油は当面、日本に入ってこない。
原油高騰で、27日から始まる10連休のガソリン価格は、GWとしては、5年ぶりの高値水準になりそうだ。先週のガソリン価格は1リットル=147・2円と、9週連続で値上がりしているが、連休中は、さらに上昇する見込み。かさむ出費にガソリン価格が追い打ちをかけることになる。
■消費増税直前“値上げの夏”到来
加えて、心配なのが連休後だ。
原油の高止まりが続けば、ガソリンの他にも、値上げは広がる。電気、ガス、燃料サーチャージ、物流費、プラスチック製品……。
早速、樹脂大手の「プライムポリマー」は先週、フィルムや自動車部品に使うポリエチレンやポリプロピレンなど汎用樹脂の値上げを発表した。同業他社も追随するとみられている。
「春に食品を中心に値上げがありましたが、この先、原油高を理由とする値上げが広がる可能性が高い。原油関連の値上げは、WTIなど客観的な国際指標があり、理由が明確。価格交渉の余地はほとんどありません。短期間で価格転嫁されていくでしょう。ちょうど、10月の消費増税の直前というタイミングで、全般的に物価が押し上げられることになります。なにしろ、原油はあらゆる物価に影響していますからね」(井上学氏)
10連休後は、反動で消費の低迷が予想されている。その上、原油関連値上げが直撃し、10月から消費税が10%に引き上げられれば、庶民の懐は凍りつく。凍結すべきは消費税の方だ。
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