WHOが「子どものスマホ・タブレット使用は1日1時間まで」とガイドラインを作成、懐疑的な意見も
世界保健機関(WHO)は「5歳未満の幼児は1日に1時間以上、座ってタブレットなどの画面を見るべきではない」との内容を含む、ガイドラインを発表しました。運動や睡眠の時間の具体的な時間を規定したこのガイドラインに対して専門家からは歓迎する声があがっている一方で、子どもがデジタル技術に触れることを制限すべきかどうかについては慎重な見方も広がっています。
To grow up healthy, children need to sit less and play more
https://www.who.int/news-room/detail/24-04-2019-to-grow-up-healthy-children-need-to-sit-less-and-play-more
Under-twos should not have screen time, World Health Organisation says | The Independent
https://www.independent.co.uk/news/health/screen-time-toddlers-under-two-minutes-who-a8884636.html
WHOが新しく公表したガイドラインでは、「5歳未満の子どもがベビーカーやいすに座る時間は1日1時間以内」と規定されています。特に、テレビやゲームなど画面を見続けることは避けるべきだとのことで、座る時間が長くなる場合は保護者が本を読み聞かせたり、一緒に読書をしたりして過ごすことを推奨しています。
ガイドラインでは運動や睡眠の時間も年齢ごとに細かく定められていて、例えば1歳未満の乳児には30分以上の「腹ばい遊び」を含む活発な遊びを1日数回させ、昼寝を含む12〜16時間(生後4ヶ月未満は14〜17時間)の睡眠を取らせる必要があるとのこと。このガイドラインが設定された背景には、子どもの肥満が世界的な問題になっているとの報告があり、WHOのテドロス・アダノム局長は「子どもの心身の健康と幸福を向上させ、肥満を防止するためには、幼児期の質の高い睡眠と、活発な身体活動、そして座りがちな時間の短縮が不可欠です」と述べています。
運動や睡眠の重要性については論をまたないものの、子どもがデジタル技術に触れることまで制限すべきだとの見解については慎重な声もあがっています。イギリスの王立小児保健協会のマックス・デイビー博士はWHOのガイドラインを「子どもを持つ家庭のための基準として有用」と評価する一方、「今のところタブレットなどの画面を見る時間を制限すべきだという科学的な根拠はありません」とコメント。タブレットなどの使用が子どもに与える影響を適切に評価するには、さらなる研究を待つ必要があるとの見方を示しました。
また、オックスフォード大学のアンドリュー・プシビルスキ教授はWHOの報告について「遅れた議論です」と一蹴しました。プシビルスキ教授は35万人以上の若者に関する統計データを分析した結果から「子どもの幸福とデジタル技術にはほとんど関係がない」との研究結果も発表しており、タブレットなどを使用することが若者に与える悪影響については、懐疑的な姿勢を見せています。
スマホやPCの利用時間の制限を子どもに強制するべきではないことは研究から明らか
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